「母親がどう思うかが大事」気が弱い、顔が大きい、足が短い、背が低い、もっと頭が良ければいいのに、拒否され続けて摂食障害でガリガリになった18歳

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家族の期待と批判がもたらす心理的影響

家族の期待と批判によるプレッシャーがどのように心理的な障害を引き起こすかを、個人の体験談を通じて探ります。親の非難による自己像の歪み、摂食障害(過食症)の発症、治療、そして回復の過程を詳細に描き出し、身近な人の支持と正しい理解がどれだけ重要であるかを示しています。
次回は回復方法を詳しく解説します。

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※この話は実際の出来事に基づいていますが、個人のプライバシーを守るため、職業、性別、場所を変更しています。登場人物の特定や詮索はご遠慮ください。

両親とも国立の大学と大学院を出て、父は大企業の役員、母は大学の教授

私の家族は社会的にしっかりしていました。
私が物心付いたときには、母親から性格や学力、容姿のダメ出しをされていました。

Carfagno et al.(2024)の研究によると、不安定な愛着スタイルは対人関係の問題を通じて摂食障害の発症に影響を与えることが示されています。Bowlby(1982)の愛着理論では、親子間の愛着関係が子どもの情緒的発達に大きな影響を与えることが示されています。親からの暴言や批判的な言動は、子どもに心理的ストレスを与え、不安定な愛着スタイルを形成する要因となり得ます。これが自己価値感の低下を引き起こし、摂食障害のリスクを高める可能性があります。

母から「気が弱い、顔が大きい、足が短い、背が低い、もっと頭が良ければいいのに」と言われ自分の存在が恥ずかしかった

Bowlby(1973)は、子どもが主要な愛着対象から分離された際に経験する不安とその心理的影響について述べています。この不安は、批判的な言葉や否定的な評価によっても増幅され、不安型愛着スタイルを形成する可能性があります。母親の厳しい言葉が彼女の自己肯定感を著しく低下させ、不安型愛着スタイルが形成されたことが考えられます。

母親から全身を否定されました。
唯一、褒めてくれたところは目が大きくてかわいいということだけでした。

人は「外的承認」(他者からの評価)を求めるものです。でも、褒められる部分が限られていると、その部分に過剰に依存し、他の自分の部分に不安を感じるようになります。これが、外見や体型に対する過度なこだわりを生み、摂食障害に繋がることがあります。

私を正したいのか悪口ばかり言われていたので自信を持てず、何かの結果が悪ければ自分を責め続け、優秀な結果だと悪く言われないから良かったという、ビクビクして不安がつきまとうような、良い方向に育ってないのが自分でもわかりました。

摂食障害が出始めたのは18歳くらいです。
私は太っていませんでしたが、幼児体系のようなお腹だけポコっと出ていました。

母から「お腹が出てるわね」と言われ、なんとかへこませて綺麗になりたいと思ってしまう

Carfagno et al.(2024)の研究によると、親からの否定的な言葉は、子どもの自己身体イメージを歪め、体型への過度なこだわりを引き起こす可能性があります。これが摂食障害のリスクを高める要因となり得ます。彼女が母親の評価に過度に依存し、自分の価値を証明しようとした行動は、摂食障害の発症に繋がったと考えられます。

自分がどう思うかよりも母親がどう思うかが大事でした。

市販の下剤やセンナというお茶などを飲むようになり、もっと痩せなければと何錠も飲んでしまいました。
だんだんおかしくなって、食べたら吐きたくなってしまって、下痢を漏らすようになってしまいました。

このような行動は、体に強いストレスを与えるため、ストレスホルモンである「コルチゾール」(ストレスに対する反応を引き起こすホルモン)の分泌が増加します。コルチゾールが長期間にわたって高い状態が続くと、食欲の異常や体重の変動を引き起こし、摂食障害の症状を悪化させることがあります。

「過食嘔吐」(過食後に吐く行動)は摂食障害の一つで、心と体に深刻な影響を与えます。繰り返し吐くことで体は栄養不足になり、心臓や消化器官にもダメージが生じます。これは、ストレスや自己嫌悪を一時的に解消しようとする行動ですが、悪循環に陥りやすいのです。

万引き「どうせ吐くのに買うお金がもったいない」

たくさん食べるけど吐くということを繰り返していたら、だんだんお金が足りなくなってしまい、万引きをしてしまいました。
万引が成功したらお金を払うことが嫌になりました。

どこにいても食べ物のことばかり考えるようになって、万引して食べて吐くを繰り返して、これが生活の中心になってしまいました。

大学も中退してバイトも辞めて家で食べて吐いて下痢して体はガリガリになりました。

極端なダイエットや食事制限で体重が大幅に減少することを「極度の低体重」(体重が極端に低下した状態)といいます。これにより免疫力が低下し、健康に重大な影響を与えるだけでなく、気分の落ち込みや不安も引き起こしやすくなります。

万引きで逮捕され依存症専門病院に入院

とうとう万引きで捕まって依存症専門病院に入院させられました。

Barone et al.(2024)によれば、摂食障害は食行動だけでなく、衝動的な行動や依存症とも深く関連しています。摂食障害によって引き起こされる身体的・精神的ストレスは、衝動的な行動を抑えられなくし、万引きなどの依存行動に繋がることがあるとされています。

私は見てすぐにわかるくらい病的な痩せ方をしていました。

摂食障害による極端な体重減少は、身体に深刻なダメージを与えます。低体重状態が続くと、免疫機能が低下し、内臓や筋肉が萎縮するため、外見的にも病的な痩せ方が目立つようになります。この状態は、心身ともに危険なレベルであるため、医療的な介入が不可欠です。

数ヶ月、入院して症状が治まったので退院しました。

専門的な治療を受けることで、身体的な健康を回復させると同時に、ストレス管理や健全な食行動を再学習することができます。入院治療は、摂食障害からの回復において、重要なステップとなることが多いです。

「そのままの私でいい」現在の夫に出会い回復

また病気を繰り返したら嫌だなと思っていましたが、バイト先の飲食店に来ていた男性と付き合うことになって症状が治まりました。
彼は、私のそのままを好きになってくれて、これでいいと認めてくれました。

Bowlby(1982)によると、無条件の愛や社会的支援は、自己肯定感を回復させ、摂食障害の症状を和らげる重要な要素です。彼女がパートナーからの支えを得ることで、自己肯定感を取り戻し、摂食障害から回復することができたのは、この社会的支援が大きな役割を果たしたと言えます。

頼れるし本当の愛をもらった気がしました。
結婚して子どもを産んで、摂食障害や万引きで捕まったことも家族に隠していません。
家族の健康を考えて食事を作って普通のことが幸せです。
今は全く変な症状がでなくなって、軽くぽっちゃりしていますが気になりません。

Barone et al.(2024)によると、自己受容が進むことで、心の安定が得られ、摂食障害の症状が緩和されることが明らかにされています。彼女が自分の体型を受け入れ、健康的な生活を送れるようになったのは、この自己受容が回復において重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

参考文献

  • Bowlby, J. (1982). Attachment and loss: Vol. 1. Attachment (2nd ed.). Basic Books.
  • Bowlby, J. (1973). Attachment and loss: Vol. 2. Separation: Anxiety and anger. Basic Books.
  • Barone, E., Carfagno, M., Marafioti, N., Bello, R., Arsenio, E., Marone, L., Volpicelli, A., Cascino, G., & Monteleone, A. M. (2024). Impact of emotional abuse on eating disorder psychopathology: A multiple mediation analysis. Comprehensive Psychiatry, 134, 152515.
  • Carfagno, M., Barone, E., Arsenio, E., Bello, R., Marone, L., Volpicelli, A., Cascino, G., & Monteleone, A. M. (2024). Mediation role of interpersonal problems between insecure attachment and eating disorder psychopathology. Eating and Weight Disorders, 29(1), 43.

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