ギャンブル依存症とは、ギャンブルの行為を止められなくなる心の状態・脳の変化です。この状態になると、人はカジノのゲームや宝くじ、パチンコ、スポーツベッティングなど、さまざまなギャンブルに夢中になります。勝つか負けるかわからない「不確実性」が、人の脳内でドパミンという物質を増やし、興奮や喜びを感じさせるのです。その結果、何度もギャンブルを繰り返し、最終的には依存症に陥ることがあります。
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依存症は完治しない、完治ではなく回復
こういった脳の変化は完全に元に戻ることはないと言われています。たとえば入院によって依存対象から離し回復させ、その後は通院やカウンセリング、自助グループへの参加をします。こうして依存対象から離すことで回復している状態を維持して生きていきます。日本ではギャンブル依存症に詳しく治療できる病院やカウンセラーは少ないです。
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依存症は脳の変化による再発性疾患、病気です
依存症は、ただの「意思が弱いから」というわけではありません。回復後に一回でもギャンブルをしてしまうと、再発してしまう病気です。脳の中で起こっている複雑な変化が原因です。だから、依存症になってしまった人を見かけたら、その人が意思が弱いからではなく、脳の働きによるものだと理解してあげましょう。
神経伝達物質 ドパミンってどんなもの? ➤➤
依存症の生物学的基盤とその影響 ➤➤
マウスを使った不確実性の研究
マウスを使った実験で、この「不確実性」の効果を調べています。たとえば、マウスがレバーを押すと、食べ物が出るかどうかがランダムに決まる実験があります。このような状況では、マウスは報酬を得るために何度もレバーを押し続けます。この行動は、ギャンブル依存症の人々が示す行動と似ていて、リスクを取る傾向や意思決定にどのような影響を与えるかを理解する手がかりとなります。
変動比率スケジュールとギャンブル依存
変動比率スケジュールは、報酬がランダムに与えられる条件です。心理学者のB.F. スキナーは、動物が特定の行動をするときに報酬や罰がどのように影響するかを研究し、その後、多くの研究者たちに引き継がれました。ギャンブルの場合、このスケジュールは「次に勝つかもしれない」という期待を持続させ、プレイヤーをギャンブルに引き戻す重要な要因となります。たとえば、カジノのスロットマシンやパチンコはこの原理に基づいて設計されており、プレイヤーは何度も挑戦することで勝利の「当たり」を追い求めてしまいます。
ギャンブル依存症の影響と治療
ギャンブル依存症は、家族や友人との関係、学業や仕事に悪影響を及ぼすことがあります。また、多額の借金を抱えることにもつながります。治療には、カウンセリングや自助グループの参加、場合によっては依存症専門病院での薬物療法が用いられます。これにより、患者はギャンブルへの衝動を管理し、健康的な生活を取り戻すための支援を受けることができます。
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みなさんも、ギャンブルがどれほど危険なものかをしっかりと理解してください。もし身の回りでギャンブルに困っている人がいれば、その人が専門の医師やカウンセラーの助けを求められるように、優しく支援してあげてくださいね。
参考文献
- Joutsa, J., Johansson, J., Niemelä, S., & Ollikainen, A. (2012). "Mesolimbic dopamine release is linked to symptom severity in pathological gambling."
- Linnet, J. (2020). "The anticipatory dopamine response in addiction."
- Murch, W. S., & Clark, L. (2016). "Games in the brain: neural substrates of gambling addiction."
- Potenza, M. N. (2013a). "How central is dopamine to pathological gambling or gambling disorder?"
- Potenza, M. N. (2013b). "Neurobiology of Gambling Behaviors."
- Zack, M., et al. (2020). "Dopaminergic signaling of uncertainty and the aetiology of gambling addiction."