目に見える苦悩：依存症者の否認と家族の孤立感
周りから見れば、どうみてもアルコール依存症なのに本人は認めません。
アルコール依存症という診断名がつくことは、本人にとって大きなショックとなるでしょう。
毎日のルーチンとなった飲酒、身体が求め続けるアルコール、そしてそれが「必要不可欠なもの」と信じ込んでしまう状況。
そんな中で「私はアルコール依存症なんだ」と自ら認めることは、想像以上に勇気がいる行動です。認めたら治療が始まってしまいます。お酒を飲めなくなるなんて考えたくもないのですから。
家族（周囲）の役割：サポートの第一歩
治療への一歩を踏み出すためには、家族（周囲）の支援が不可欠です。それか本人が気づくしかありません。
依存症患者を専門とする病院は数が限られており、家族は適切な病院選びにも気を配る必要があります。
この問題は治療側にとっても大変なことですので、一般的な精神科、心療内科等だと診察を断ってくる病院もあります。勇気をだして病院へ行ったのに断られてしまうと落ち込んでしまいます。「どうせ医者も助けてくれないんだ」と自暴自棄になりかねません。遠方であっても、専門の機関への受診を勧めます。
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否認から学ぶ：変化への第一歩
依存症者が最もよく用いる防御機制の一つが「否認」です。しかし、この否認があること自体が、問題に直面しようとする大切な第一歩となります。
勉強会やセミナーで、自らの状態を「否認」として学び、自分が病気であることを受け入れ始めることができると、予想外の安堵感を覚えることもあります。
そして、なぜ自分がこの状態に至ったのかをじっくりと考え、理解を深める機会となります。
心のサンクチュアリ：アルコールとの複雑な関係
日常の悲しみやストレスを忘れるために、多くの人がアルコールに逃げます。
よくドラマで、失恋したり会社で嫌なことがあったりしたときにヤケ酒をして泥酔しているシーンがあります。悲しみや悔しさを和らげるためにお酒を飲むことが定着している証拠でしょう。
こんなふうに一時的な解放感を追い求めて自分の心を守るために飲酒していたはずが、飲酒することが目的となり、お酒を買うためだけにコンビニへ行くようになります。そして、この習慣が脳の機能を変化させ、意志だけではコントロールできない状態にしてしまうのです。
判断を曇らせる混乱：依存のジレンマ
依存症者は問題行動を経た末に「やめたいけれど、やめられない」という葛藤に苦しみます。周囲からは「意思が弱い」と非難されがちですが、これは病気の一症状であり、単なる意思の問題ではありません。そのため、専門的な介入が必要不可欠です。
繋がりを求めて：自助グループと家族会の重要性
依存症の当事者や家族はしばしば孤独を感じますが、自助グループや家族会はその孤独を和らげる貴重な場です。ここでは、お互いの経験を共有し、励まし合うことで、再び社会に適応していく力を育んでいきます。互いに理解し、支え合うことで、治療への道が少しでも明るくなるのです。