性被害者が加害者に変わる「被害者-加害者サイクル」の概念とは何か
「被害者-加害者サイクル」とは、性被害を受けた人が後に加害者に転じる現象を指す心理学・犯罪学の概念で、トラウマが連鎖する可能性を示します。元TOKIOの山口達也さんや元SMAPの中居正広さんの性加害疑惑を考えると、ジャニー喜多川さんによる性加害が発端ではないかと想像されます。ただし、これは憶測ではなく、研究で裏付けられたサイクルです。芸能界の特殊な環境がこれを助長すれば、現実的な連鎖として現れる可能性があります。
なぜ性被害を受け入れることが加害行動につながるのか、その仕組み
性被害を苦痛のまま受け入れると、認知の歪みが生じることがあります。アイドルとして成功するため、ジャニー喜多川さんから受けたかもしれない気色悪い行為を耐え、「これが必要」と正当化すると、一般的な倫理観から離れてしまいます。その結果、性に対する感覚がズレ、芸能界の過剰なストレスが弱い立場の人への性加害に転じる可能性があります。これが被害から加害への仕組みです。
心理学の研究が明らかにする被害者から加害者への移行の根拠
人は観察から行動を学ぶ「社会的学習理論」に基づき、Glasserら（2001）の研究では、性加害者の30〜50%が過去に性被害を経験しています（Journal of Child Sexual Abuse）。被害者-加害者サイクルでは、トラウマが再演され、コントロールを取り戻すために無意識に模倣したり、虐待が「普通」に感じられたりします。溜まった怒りや羞恥心が攻撃性に変わるのは、このサイクルの根拠です。
芸能界の特殊な環境がなぜこの連鎖を加速させるのか、その要因と裁判記録
権力関係が強い環境では、トラウマが増幅されやすいです。ジャニー喜多川さんによる性加害が事実なら、タレントはキャリアを握る権力者に逆らえず、被害を受け入れるしかなかったでしょう。「成功の代償」と納得すれば、内面化された性被害が心に残ります。Herman（1992）の『Trauma and Recovery』は、権力下の虐待が深い影響を与えると示します。さらに、ジャニー喜多川さんは週刊文春との民事訴訟（2003年東京高裁）で性加害が認められ、2004年に敗訴が確定し、疑惑が事実と司法的に裏付けられました。
公衆の目がどのように感情を抑圧しストレスを増幅させるのか
感情を抑え込むとストレスが溜まります。芸能界では、被害を公にすればバッシングに晒されるため、感情を隠さざるを得ません。山口達也さんの2018年の未成年者への強制わいせつ疑惑では、アルコール依存も明らかになり、孤立感や競争がトラウマを悪化させた可能性があります。公衆の目が感情を押し込め、自己破壊的な行動につながるのです。
山口達也さんや中居正広さんの具体例から見る連鎖の可能性
トラウマが未処理だと行動に影響します。もし山口達也さんや中居正広さんがジャニー喜多川さんから性被害を受け、それを耐えてアイドルとして進んだなら、倫理観が歪んだかもしれません。山口達也さんの事件は記録に残り、中居正広さんは2025年1月時点で証拠がありませんが、ストレスが弱者への加害に転じるケースとして理論的には考えられます。
すべての被害者が加害者にならない、その注意すべきポイント
被害者でも「レジリエンス（回復力）」があれば、加害に至りません。Finkelhor（2008）の研究では、多くの被害者が共感性が高く、他人を傷つけません（Childhood Victimization）。サイクルが発動するかは性格やサポート環境次第です。山口達也さんや中居正広さんに当てはまるかは、証拠がない限り断定できません。
芸能界の特殊性が引き起こす影響と連鎖を断つための解決策
環境がトラウマの表れ方を左右します。権力構造、公衆の目、孤立感が絡む芸能界は、被害者-加害者サイクルを助長します。ジャニー喜多川さんの性加害が2003年の裁判で認められた事実は、その影響の深刻さを示します。連鎖を断つには、安全に声を上げられる環境とトラウマ治療が欠かせず、芸能界を健全にする努力が必要です。
結論として、性被害を受け入れて進んだ人が芸能界で加害者に変わる可能性は理論的にも現実的にもあり得ます。山口達也さんのケースが一例かもしれませんし、中居正広さんの疑惑も無関係とは言い切れません。ただし、憶測を超えた確証が必要です。
参考文献
- Finkelhor, D. (2008). Childhood victimization: Violence, crime, and abuse in the lives of young people. Oxford University Press.
- Glasser, M., Kolvin, I., Campbell, D., Glasser, A., Leitch, I., & Farrelly, S. (2001). Cycle of child sexual abuse: Links between being a victim and becoming a perpetrator. Journal of Child Sexual Abuse, 10(4), 63-80.
- Herman, J. L. (1992). Trauma and recovery: The aftermath of violence—From domestic abuse to political terror. Basic Books.
- 東京高等裁判所. (2003). ジャニーズ事務所及びジャニー喜多川氏による週刊文春に対する名誉毀損訴訟判決（平成14年（ネ）第2565号）. （確定: 最高裁判所, 2004年）.
